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身体感覚の根っこを育む

造形表現

音を楽しみ、のびやかに表現する子どもたち

 

幼稚園はともすると、非常に音が多くなりがちです。スピーカーから流れる幼児向け音楽、片付けの指示のためにガンガンと鳴り響くピアノの音……。しかし、幼児期は根源的な音への感性を身につける大事なとき。受動的に無味乾燥な音を聴かせるのではなく、良質な音に包まれて過ごさせたいと切実に感じています。

 

絵の具の感触を試すのと同じように、子どもたちが思い思いに楽器の音を試せればと、園庭に楽器コーナーを作っています。音に吸い込まれるように夢中で弾く子、通りすがりにちょっと弾いていく子と様々な反応が見られました。一人ひとりのささやかな音の世界を楽しむために始めた楽器コーナーでしたが、子どもたちが集まると自然とリズムを合わせる瞬間がぽつりぽつりと出現することも、嬉しい発見でした。人の出す音を聴いて、それに自分を調和させる姿。ここにも子どもたちのコミュニケーション能力の育ちが見て取れます。

異なる音と出会いながら、人間関係を豊かに

 

音の魅力を体中で感じ、異なる音と出会いながら、人間関係を豊かにしていく。そして、これから出会うさまざまな集団や社会に心地よく適合し、人々とつながりながら、いきいきと自分らしさを発揮する力を養うことが、音を用いた体づくりの最終的な目的です。

自分の思いを語り、思考を深める言葉をどんどん広げていく幼児期。その傍らに立つ私たちは、豊かな言語世界の生成を支えると同時に、言葉では表すことのできないアンバーバルな感情世界も大切に育んでいくことを忘れてはならないように思います。

イメージを持った身体表現

 

日常の中で即興的に絵本の「おおきなかぶ」の世界が作り上げられることがあります。それは、大人からの指示でもなければ大人に披露するためでもない、「おおきなかぶ」のイメージを共有する子どもたちで自主的に盛り上がる遊びで、それぞれの子どもたちが役になりきってストーリーを展開する様子は、非常にいきいきとしています。

お決まりの振り付けのダンス、決められた台詞や身振りの劇遊びなどは多くの保育現場で見られますが、子どもたちが主体的に参加する即興的な身体表現だからこそ味わえる、楽しさを伴った学びがあります。こういった幼児期の造形的、身体的、音楽的、劇的な表現は、やがてはその人自身の語る言葉の発達に繋がり、その人独自の生涯を支えるものになるのです。

 

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